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製品紹介「燃料油供給モジュール」

製品紹介

こんにちは。
今回は舶用機関向けの燃料油供給システムである装置“燃料油供給モジュール”を紹介します。

“燃料油供給モジュール”とは、燃料油供給系統である、船舶の燃料油常用タンクから主機、発電機までの各種機器 (こし器、ポンプ、流量計、エアセパレータ、加熱器、自動粘度調整装置など)、配管・バルブを一つのモジュールにまとめ、工場で製作してから船舶に搭載する装置です。
弊社では過去に国内の造船所様へ内航船向けに53台、外航船向けに7台の納入実績がございますが、昨年、初めて海外の造船所様向けに開発を行い、昨年末にその第1号機を納入致しました。

まずは、基本の燃料油 (C重油) 供給システムを説明します。
下記「燃料油供給システム図」が示すように燃料油を常用タンクから主機と発電機へ供給する際、通常二重加圧燃料油システムが装備されます。
粘度が380cSt (50℃) 以上の燃料油の場合、主機と発電機が要求する粘度 (約10~15cSt) にするためには、燃料油を135℃以上に加熱する必要があります。大気圧で100℃以上に加熱すると燃料油中水分が沸騰するため、二重加圧燃料油系統を採用すると沸騰を防止することができます。

燃料油常用タンクの燃料油は燃料油こし器を通過した後、燃料油供給ポンプにより加圧され、高圧系統に供給されます。燃料油供給ポンプの出口側には、消費燃料油の量を計測するために流量計が装備されています。
燃料油循環ポンプで主機と発電機側が要求される圧力に昇圧した燃料油は、加熱器にて所要温度まで加熱されて、主機と発電機へ送られます。多くの場合、加熱温度の制御は加熱器出口側に装備される自動粘度調整装置で行われます。燃料油の温度調節は、加熱器の加熱方式によって違います。スチームと熱媒油など熱媒を利用する加熱の場合、加熱器への熱媒量を制御することにより行われます。
加熱器出口には燃料油2次こし器が装備され、燃料油中の主機と発電機に損傷を引き起こす不純物のろ過ができます。2次こし器は、ろ過頻度が高く且つ主機と発電機への燃料油供給中断が不可のため、バイパスこし器付きの自動逆洗式が多く採用されています。

実際の船舶燃料システムは、通常のC重油及び規制海域内で運転するためのMGO (マリンガスオイル) 燃料油により構成されているので、C重油とMGO間の切り替え装置が必要になります。船舶には陸電から切り替えて自力で動き出すために非常用発電機が設備されており、それを起動するのに必要な寒冷地でも機動性の良い (流動点が低く、低粘度のMGO) 燃料が必要になるため、MGO専用の非常用ポンプも装備されています。

上記燃料油供給システムに対し、非常に複雑な機器配置と配管の設計が必要になります。
弊社が開発した“燃料油供給モジュール”は、下記の特徴を備えています。

・燃料油常用タンクから主機と発電機に供給される燃料油の適切な調整
・主機と発電機の仕様にマッチする燃料油を最適な流量、圧力、粘度で供給
・必要に応じた燃料油切り替えを管理
・最適なインターフェース、省スペース
・タッチパネルによる安全且つシンプルなオペレーション
・遠隔監視及び操作が可能 (船内リモートモニタ採用)

3次元CADによる設計

昨年末に完成した燃料油供給モジュールの写真

 

以上が燃料油供給モジュールについての説明となりますが、船内には燃料油系統の他にも潤滑油系統や海水、清水など様々な系統が存在し、そのどれもモジュール化することが可能です。
今後もお客様目線で考慮した機能を完備し、且つ省スペースな製品の開発に取り組んでいきます。

 

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