船舶用ポンプ
既存ポンプの改良や新しいポンプの開発に携わっています。ポンプの開発で一番大切なことは、“ねらいをどこにおくか”ということだと思います。
新製品の低硫黄燃料油対応ポンプは、これまで関わってきた中で一番苦労した製品です。
燃料油系の歯車ポンプなのですが、環境問題への配慮から、燃料油に含まれる硫黄分を減らすよう世界基準の規制が新たに設けられたのです。硫黄分が少なくなることによって燃料油自体の粘度が下がります。歯車ポンプはその内部の潤滑を移送流体で行っているため、移送流体である燃料油の粘度が下がることによって、内部の潤滑にも問題が発生してきます。それにどう対応するかが一番の課題です。
実のところ、この低硫黄燃料油への対応を歯車ポンプでやっているところは少なく、他社はスクリューポンプに移行していっているのが現状です。しかし、スクリューポンプはどうしても構造が複雑になり価格も高くなってしまいます。「歯車ポンプで低硫黄燃料油対応を実現できるのであれば、それに越したことはない」そのようなユーザーの声に後押しされ、当社は歯車ポンプで勝負に出たという訳です。
改良を加え、実験を行い、問題点を探す-その繰り返し。
焼きついて動かなかったり…、部品が異常磨耗したり…、いろんな課題が複合的に重なっている場合もあるので、それをどうクリアしていけばよいかを考えながら、それぞれの課題に挑戦していきます。
また、せっかくクリアできても、途中段階で要求仕様が変わる場合もあります。それも工業製品をつくる上では、致し方のないこと。ものづくりにはいろんな要求があります。
性能…、機能…、コスト…、省スペース…、使いやすさ…、全部うまくクリアできればいいのですが、そうはいかない場合もあります。その時に全体を見て、どこに軸足をおくか-バランス感覚が大切だと思っています。
そうした中で誕生した低硫黄燃料油対応ポンプも、もうすでに航海に出ています。
燃料油の低硫黄化も含め、ますます厳しくなる環境に対する規制に、これからも取り組んで行きたいです。